何といっても桐野作品に登場する「男前」な、ツオイ女にはほれぼれする。だから、どうしても女探偵「村野ミロ」シリーズには胸のすく痛快感を期待してしまう。
が…
どうしたことか、読み始めてすぐに「?!」「こ・こ・これって?!」感にとらわれてしまう。
表題どおり「暗い!」。
「闇に射す一条の光を仰ぐ」などという感傷も許されず、「ミロってば、どーしたんだーっ!」読者もミロとともに底のない井戸の底の底へと果てしもなく堕ちていく。
それでもなお、「ミロ恋しやホーヤレホー」で以って読み続けると、うっすら見えてくる何か!
読み終えて「産みの親(もちろん作者のことよ)」のミロへの深い愛情を共有した実感に感動する。
いたずらに光を求めず、「生き抜く」強靭な意思を以ってカッと目を見開いて闇さえもものともせずズッカンズッカン歩いて行ってしまうミロに拍手喝采!
カッキーッ!!!
上下巻700ページ近い大作も面白くてあっという間に読んでしまう。
ってか、「ミロのその後」どうなるんだーッ!!!
作者名:桐野 夏生
ジャンル:小説
出版:講談社文庫