Vol.100楢崎明智2020年東京オリンピック・スポーツクライミング応援シリーズ―4―


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上の兄に勧められて始めたクライミング
出会えてよかった!世界一面白いスポーツです!

小玉:家族構成は?
■楢崎:父、母、僕が一番下で上に二人います。3つ上が、ともくん(楢崎智亜さん)で、その3つ上にも兄がいます。
小玉:楢崎智亜さんの上のお兄さんもクライミングをやってらした?
■楢崎:やってました。僕もさちさん(安間佐千さん)のジム(FLASH、安間佐千さんの実家が経営)で、一番上のお兄のすすめで始めました。
小玉:近いんですか?
■楢崎:ウチから自転車で15分くらい。
小玉:出身校にクライミングジムは?
■楢崎:ないですね。入学した高校には山岳部はあったんですけど、出席日数が足りず、第一学院高校に転校しました。そこは部活が一切ないんです。
小玉:そこは、既に進むべき道が見えている人には便利な高校なんですか?
■楢崎:そうですね。

小玉:始めたのは何歳の時ですか?
■楢崎:小学校2年生の終わりころ。9歳です。
小玉:その時からヒデさん(伊東秀和さん)に?
■楢崎:いや、まだです。ともくんの1年遅れで始めて、4年生で栃木のユースの代表になった時のコーチが伊東コーチでした。
小玉:中学の時はクライミング一辺倒で、現在の高校生活でも続いていますか?
■楢崎:そうですね。
小玉:ほまれちゃん(戸田萌希さん)もそう言ってました。帰ったらとっととクライミングへ。
■楢崎:僕もそうです。学校が終わると友達とは遊ばなくてそのままクライミングに。
小玉:よっぽど好きなんですね。
■楢崎:そうですね。出会えて良かったです。世界一おもしろいスポーツです。
小玉:学校の友達はそれについて何か言ってますか?頻繁に海外へも行ってますよね。
■楢崎:なんだろう?すごい人みたいな感じになってます。県大会優勝とかだと騒がれるけど、むしろ全国優勝だとイメージがつかないのかもしれません。
小玉:これからもずっと続けようと思うその原動力は?
■楢崎:兄には追いつきたいです。僕ががんばって追いついて抜かしそうになる。僕が優勝して兄が3位になって。そしたら兄はすごく悔しかったらしくて、頑張って、今度はワールドカップ優勝してしまった。追い越すの難しいなと。
*2016年3月開催のTHE NORTH FACE CUP (ノースフェイスカップ)division1では、楢崎明智選手は兄の楢崎智亜選手を抑えて優勝している。
*楢崎智亜選手は2016年ボルダリングワールドカップで年間総合優勝、世界選手権でも優勝している。


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兄・楢崎智亜選手に対抗して編み出した
するする脱力系登り

小玉:日本にいる時は、一緒に練習するんですか?
■楢崎:最近はしなくなりました。昔は毎日一緒にジムにいったんですけど。今はいろんな場所に行っているから。
小玉:友達というとクライミング仲間になりますか?
■楢崎:クライミング仲間は、昔はいっぱいいたんですけど、みんな大学生になってしまって、違う県に行ってしまいました。今はひとりさびしく登ってます(笑)
小玉:時々、さちさんは来られますか?
■楢崎:月に2回くらい。セットしにという感じなので、一緒に登るというより、少し遊んだりという感じですかね。さちさんは考えがすごい人です。励まされるし、やる気を与えてくれます。
小玉:リスペクト?
■楢崎:リスペクトします。伊東コーチはすごく尊敬しています。
小玉:練習頻度はほとんど毎日?
■楢崎:クライミングは毎日ですけど、筋トレは週2回くらいです。ふだんはボルダーやって、週2くらい筋トレ、後は長モノなどです。
小玉:リードはどうですか?
■楢崎:リードはできないので、横にグルグル回る感じです。
小玉:リードは、どこで練習するんですか?
■楢崎:今はやってないんです。
小玉:リード強いじゃないですか!
■楢崎:リードの方が結果が出ている気がします。
小玉:どこで練習されるのかしら?
■楢崎:パンプ1
小玉:川口ですね。
■楢崎:ふだんは練習しないけど、ボルダー力が強ければ、いつでも出来る。


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小玉:本人的にはロープよりボルダリングがメインですか?
■楢崎:ジムの環境もそうですし、楽しいですから。
小玉:ボルダリングの自分の得意な傾向は?
■楢崎:飛び出しは得意ですね。ピンチの保持とか、アンダーで体を上げるとか、
小玉:背があるから詰まったりしませんか?
■楢崎:詰まりますね。腰が折れます。
小玉:印象でいうと、智亜さんはパワーな感じ。明智さんは、なにげにするするといく感じですね。柔らかいというか。
■楢崎:脱力系ですね。ともくんはかつては体操をやっていて、全国戦に行くくらい強かった。だからクライミングを始めても強くて、僕は追いつけなくて、自分なりに対抗できる技を身につけようとしたら、なんかするすると登る感じになった。力を使わないで登る。
小玉:省エネですね。

小玉:次は、成績について伺います。
今までに国内、国際大会もにリードで素晴らしい成績を残していらっしゃいますね。
■楢崎:ユースは基本、ボルダーの大会がないんです。去年、始めてボルダーの大会が出来て、それが鳥取(全日本クライミングユース選手権ボルダリング競技大会・倉吉)です。だから日本人の男女はリードでしか結果を出してないです。
小玉:その大会では4位でした。
■楢崎:準決(準決勝)は、だんとつ1位だったんですけど、決勝は後、1手というところで、メンタルやられてて、手が出ず4位になってしまいました。悔しかった。前の人が完登しちゃって、周り外人しかいないし、初ワールドユースで、まさかの準決1位だったので、期待されているのもプレッシャーで…
小玉:感情というかメンタルの上下動は、どうすればよいとお考えですか?
■楢崎:呼吸ですね。「自分はチャレンジャーなので、誰も注目してない」と思えば、メンタルがやられない。そしたらノースも勝ったという感じです。
小玉:ちゃんと呼吸して登れます?
■楢崎:最近、出来るようになりました。登っている時もそうですけど、最近は登る前も呼吸を整えてから登ります。

小玉:印象に残っている試合はなんですか?
■楢崎:2011か12のノース。JOCで優勝したんです。その時、僕はリードだったんですけど、高度的には4位くらいだったんですけど、みんな壁を渡るところで、足を壁の後ろにかけちゃって、どんどん失格になって、たまたま優勝した。それが1番面白かった。
嬉しかったのはノースファイスカップです。気持ちよかったです。
小玉:ストリーミングで観てました。なにげなくするするって行かれるから。なんにも力を使ってない感じ。
■楢崎:集中しすぎて、どっかいってましたね。自分でもびっくりでした。
小玉:鳥取ですね。


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2020年には21歳、狙ってみますかね?
その前に兄を倒さないといけない!!

小玉:オリンピックについては、どう考えますか?
■楢崎:微妙な感じですね。僕が仮にオリンピック選手に選ばれても、メンタルが弱いので国を背負って戦うなんて出来ないです。クライミングに興味を持つ人が増えるのは嬉しいですけど。でも、人口が増えるとマナーを守らない人が増えそうで、外岩とかどうなんですかね?

小玉:外岩は?
■楢崎:選手を止めてから行こうかなと思っています。
小玉:まったく行かないのですか?
■楢崎:行きます。でも難しいグレードは登ってないです。
小玉:単に難易度ではなく外に行って、空気が良くて森の気が漂っているところに身を置くのが命の存在にとっていいのではないでしょうか?
■楢崎:外岩は、気持ちが良いですよね。本気の人たちは寒い日に行くんです。手がヌルヌルしなくて。フリクションが良いいから。
小玉:そうなんですか?寒いと手がかじかんじゃって。
■楢崎:岩のコンディションは良いです。でも、景色を楽しみたい僕からしたら考えられないです。ぽかぽかしている日に行きたいです。


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小玉:では、2020年は出たいとという感じではないですか?4年後だといいタイミングではないですか?
■楢崎:21歳で最高といえば最高です。でもその時強いかどうかです。
小玉:4年なんてあっというまで、どういうドラマが展開されるか分からない。今まで聞いた事ない人がトーンと上がって来たり。
■楢崎:4年あればなにが起こるか分からないですね。
小玉:オリンピック挑戦してください。
■楢崎:狙ってみますか?でも、オリンピック前にともあを倒したいですね。
小玉:お兄さんはリードをやらない?
■楢崎:リードをやらないクセにめちゃめちゃリード強いです。この前の日本選手権も僕が6位でともあが3位。

小玉:東京5輪は、3種目の総合加点ということで、スピードはおいといて、
■楢崎:スピードできれば有利じゃないですか?
小玉:リードとボルダーと両方を、実はボルダー大好きで得意と思っているけど、リードは成績が良いというのはすごい有利だと思いますが。
■楢崎:両方、これからやっていくつもりです。

小玉:オリンピックが近づくにつれて、メディアの注目も高まって、露出する場面も多くなると思うんです、そうすると、「かっこいいなやってみたいな」というボーイたちやキッズたちがいると思うんです。
■楢崎:運動神経の良い人たちが見て、俺も出来るってなりそうですね。もっと浸透して欲しいです。
小玉:その辺のおばちゃんがテレビ観て、「フィギャースケートの真央ちゃん出てる」という感じで言うと、「兄弟で出てる」というのは良いんじゃないですか?
■楢崎:クライミングというとみんなのイメージが違い過ぎる。スピードを競うと思っていたり。みんなが1度はクライミングをやった事があるくらいになってほしい。
小玉:テレビで試合が観れるようになった時に、適切な解説が欲しいですよね。なにが難しくて素晴らしいかをなにも知らない人が分かるように。ヒデさんはそんな解説できる方だと思うんです。
■楢崎:凄いですね。今の現役選手よりもクライミングが大好きなんだなって思うんです。


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■楢崎:クライミングは、やってみないとわからないスポーツです。たいがいの人が理解していない。
小玉:やったことない人がに「運動が得意な方じゃないですけど、大丈夫ですか?」と聞かれた時に「大丈夫です、梯子が登れれば」と答えます。最初はそうですよね。

■楢崎:僕もサチさんもあきよちゃんも運動神経が悪いんですよ。
小玉:???
■楢崎:たとえばあきよちゃんはスキップ出来ないです。ヤバいです。手と足の伝導がまったく出来なくて。バラバラです。運動神経がいいのは、みほちゃん、ともくん。
小玉:智亜さんは体操をされてたたから平衡感覚が良いですよね。
■楢崎:あの人の身体能力は凄いです。どんなスポーツをやっても勝てるんじゃないかって言われてます。

小玉:では是非するする感で対抗してください。後は、ふだんの練習は?
■楢崎:練習メニューを作ってくれる人間がいると凄く楽ですね。
小玉:現状観察から対策をひねり出す?
■楢崎:そうですね。長モノのコースを作ってくれたり、筋トレのメニューを考えてくれたり、ありがたいです。


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小玉:毎日の練習は伊東さんの作ってくれた課題をトライするという事こと以外にはどんなことを?
■楢崎:ジムの行き帰りふだんぼっとしている時間帯にクライミングの事をずっと考えていて、どうホールドを持つと楽なんだろうとか、足の出し方とかいろいろ考えています。それが一番の練習です。イメージすること。
小玉:メンタルトレーニングは?
■楢崎:まずは大会に慣れることですね。僕のメンタルのトレーニングは集中の仕方。ふだんの練習で練習します。気持ちの落ち着かせ方とか。

小玉:ポイントは?
■楢崎:呼吸ですね。姿勢を整えて。落ち着きます。伊東コーチに前に言われました。「会場に出たら客が多いし、チョークが舞っていて綺麗な酸素のとれない気がするから、行く前に呼吸を落ち着かせて」と。会場に出ると気持ちが焦ると空気が薄い気がするんですよね。呼吸が浅くなるので。
まわりの期待が大き過ぎると「結果を出さなきゃ」と思うあまり緊張が高くなる。そういうの僕は苦手です。
小玉:自己分析をしておくと、あがりそうな予兆が分かる。その時におまじないの呼吸をするとか、コントロールをするヒントを予め用意する。楽しかった時や良い時をイメージするとよい、というような話を聞いたことがあります。
■楢崎:僕も課題を見てわくわくした時は強いですね。早く登りたい。そういう時は調子が良い。前の人が誰も登れてないと完登したくなります。逆に前の人が完登するとやる気なくなる。ノースの時も。前の選手が何も出来なかったので、僕はわくわくしました。「僕が登ってやる!」みたいな。みんなが完登する試合ほどやる気がなくなる。
小玉:そういうシチュエーションでも淡々と登れるようになってください。
■楢崎:出来るようになりますかね?でも、ふだんの練習で、他の人が出来てるんだったら僕もできるっていう楽観的になります。楽に考えます。


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肉好き、カレー好き!
オフの日はとりあえず寝る!!で育ちました!!!

小玉:好きな食べ物はなんですか?
■楢崎:カレーです。ナンのカレーが好きです。インドカレーみたいな。焼肉も好きです。お肉が大好きです。ともくんは野菜が食べられないので、みんなで食事に行く時はともくんに合わせて肉がいっぱい出てきます。ウチのメニューは肉と米だけです。

小玉:「今日はオフ」という日は設定してますか?
■楢崎:してます。軽く流す程度で、体を休めるようにしています。
小玉:クライミング以外でオフの日にする事はありますか?
■楢崎:とりあえず寝てます。寝るかゲームか。

小玉:それで育っちゃった。寝る子は育つ。憶えている試合は?
■楢崎:始めてのワールドカップのボルダーで、1課題目2課題目「出来ない出来ない出来ない」とずっと出来なくて、2課題目3課題目の時に「世界のトップレベルの人たちは絶対登っている」と思い込んで「後1本登ってもダメだな」と思ってメンタルやられてたら、結果的には誰も登れてなくて、日本のレベルって高いんだなと思いましたね。けっこう紙一重で僕が決勝に残れちゃうような、それは言い過ぎですけど、

小玉:海外はひとりで?
■楢崎:ユースは、引率の人がいて、後はメンバーと行きます。英語を喋らなくてすみます、甘えです(笑)。
小玉:ユースは、99年以降生まれという枠なんですよね。
■楢崎:そうなんです。今のユースは、僕の1こ下と同じ枠で戦っています。2013年のアジアユースは、日本人が123ととってて、大高伽弥が1位で、僕が2位で、中上太斗が3位。その大会はやり切った感があったんですけど、まさかその上がいるとは。1手の差でした、憶えてます。

小玉:リードはトライ数は?
■楢崎:1本勝負です。勢いよく乗り込んでいて、足滑らせたら1歩めで試合終了です。3回くらいやったことあります。それでメンタル強くなりました(笑)。
小玉:スタート地点から難易度が高いんですか?
■楢崎:決勝までいって、考えると絶対落ちられない。練習では難易度が高くなくても決勝では3倍増しな感じです(笑)。

小玉:リードの難易度は?
■楢崎:基本は13c〜dで、ゴールするかしないかといった感じです。ほとんどゴール前で落ちて到達高度差で優勝。僕は、全国大会のリードで決勝で完登した事はありません。
小玉:そうなんですね。
■楢崎:優勝しても完登してないと悔しいです。

小玉:予選は?
■楢崎:予選は2本です。ABで2つに別れて登って、両方の高度で順位が決まって、準決勝で26人が1本登って7人残るんです。決勝は1本。

小玉:1本で優劣をつけないといけないので、関門の連続ですね。
■楢崎:予選1本でゴールできなくて、だんご(選手が皆、同じポイントで)で落ちて、でも1本目の順位が良かったので、10何位で残る、というようなケースが多々あります。リードの予選は緊張しますが、1本ミスしても、もう1本が良い結果だといいんです。メンタル勝負です。準決勝は1本だけなので、出し切るだけです。決勝はミスはできません。


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小玉:ボルダーとリードのそれぞれの魅力は?
■楢崎:ボルダーは、落ちても試合が終わらないので、すごいいろいろ動きが出来るんです。しかも完登する確立が高いから楽しい。自分の味が出せる。誰も出来ていないムーブで登って沸かせるとか。そこが楽しい。リードは楽しいなって思わない(笑)。見ている方が好きです。一目で分かるので。1手上をいったら、この人優勝だなって分かる。出てる本人からしたら辛いです。完登した時の達成感はあります。ロープを降りて来る時は気持ちよかったです。

小玉:一番最初のコンペはフラッシュですか?
■楢崎:僕はもともとクライミングを始めたのがサンカルチャークラブというところで、そのころはまだフラッシュがなくて。4年くらい前じゃないですかね。なので初コンペは、どこだか忘れたんですけど、コバトンカップかな?女子に負けたことしか憶えてないです。
*コバトンカップ:コバトンとは埼玉県の県の鳥であるシラコバトをモチーフにした、埼玉県のマスコット。埼玉埼玉県立川越工業高等学校に在学していた竹腰博晃によってデザインされた。当初は2004年埼玉県で開催された彩の国まごころ国体の大会マスコットとして登場したものだが、2005年より県のマスコット、2014年より県の特命宣伝部長となった。

小玉:男女混合で?
■楢崎:キッズだから混合です。悔しかったです。
小玉:何年生くらいでしたか?
■楢崎:3年生くらい?
小玉:その時は身長は大きかったんですか?
■楢崎:今ほどではないですけど、学年では大きい方でした。
小玉:何時伸びたんですか?
■楢崎:クラスでは一番大きくて、大きい大きい大きいで、大きいが続いたらこんなになっちゃいました(笑)。

小玉:コンペは相当悔しかったと?
■楢崎:その時3位の子は今でも大会で見るんですけど、名前は憶えてない(笑)。
小玉:悔しさみたいのもので、次は負けないぞみたいな。
■楢崎:その時は練習してやるって思いました。また、ひたすら負けてしまう女子がいたんです。その時本間大晴って人と仲が良かったんですが、何かのリードの大会でその子に負けて僕が2位で、たいせいが3位。二人で「負けたな悔しいな」と話をしてたら5.10カップでまたいて、予選でその子がまた1位になった。
たいせいと相談して、「練習で負かしてやろう」「練習でどれだけ強いか試してやろうぜ」となって、誘って登ったらぜんぜん強くなかったんです。「今回勝ったな」ってたいせいと話していたんですが、次の試合でたいせいが2位で僕が3位で、その子が1位で負けました(笑)。憶えてます。

小玉:3年生くらいだと男の子も女の子も関係ないですよね。
■楢崎:どっちかというと小学校の時は女の子の方が強いイメージがあります。高校になると女の子って太って来るじゃないですか?太るというか体つきが変わって来る。その時にみんな落ちて来るイメージがあります。で、上がって来れた人だけ活躍できる。

小玉:公式戦の最初は?
■楢崎:6年生くらいですかね?アンダーUSBが確か6年か5年生くらい。思い出したのがJOCで初めて予選落ちしました。次の年で優勝して、その後はぜったい表彰台に乗っている気がしますね。

小玉:リードは最初にオブザベーションタイムがあって、そこからアイソ(アイソレーションエリア isolation area:公平を期すために他の選手の試技を見ないよう選手を隔離しておく場所)に入って、ひとりずつ出て来て競技するという感じですか?
■楢崎:そうですね。アイソルームに入った瞬間に僕は緊張しないんですよ。最初並んで待っていて、自分の番が近づいて来ると、心拍数が上がりますね。
小玉:沈黙でしょ?
■楢崎:沈黙ですね。アイソ(?)入った時は時間があるのでトランプしたりしてワイワイしてるんですけど、オブザベして3人体制で座った瞬間、緊張し始めて無口になります。

小玉:今年はワールドカップはリードで?
■楢崎:あわよくば、ボルダー出たかったんですけど。BJCで失敗しました。
小玉:枠が決められていて?…
■楢崎:決められています。絶対出れるのが4人なので上位4名に入れば100%どこでも、キャンセルしたら5位の人が繰り上がります。アジア枠とか世界枠とかS代表A代表等々、色々ルールがあります。


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小玉:大会の時期は?
■楢崎:全部7月なんですけど。一週間に2戦あります。めちゃめちゃ大変なんです。
小玉:移動も疲れますね。食べ物は平気ですか?
■楢崎:はい、なんでも。ヨーロッパは平気ですけど、アジア圏は要注意です。インドで初めてカレーを食べると日本人はお腹を壊すらしいです。水ものは止めた方が良いって言われます。サラダとか。ドイツの人が大会直前まで吐いてたみたいです。
小玉:歯を磨く時もミネラルウォーターを使わないとと言いますね。
■楢崎:水道水はダメです。

小玉:2020に向けて頑張ってください。応援しています。本日はありがとうございました。


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2015年8月にJOC(日本オリンピック委員会)で2020年東京オリンピック追加種目として新たに5競技が選定され、スポーツククライミングもその一競技として正式にIOC(国際オリンピック委員会)に提案されました。2016年8月のIOCの正式な最終決定を待つばかりです。 JOCの決定を喜び、IOCの最終決定を歓待し、さらには2020年の日本選手の目覚ましいばかりの活躍を心から応援したいものです。
そこで「VIVA ASOBIST」では「2020年東京オリンピック・スポーツクライミング応援シリーズ」と題し、日々研鑽を重ね続けるスポーツクライミングの選手やその周辺に焦点をあてて、皆様にご紹介したいと願うものです。

 

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【プロフィール】
楢崎明智(ならさきめいち)
・フリークライマー
・1999年(平成11年)栃木県宇都宮市生まれ。17歳、高校2年生(2016年11月現在)
【主な戦績】
?■国内
2016年5月:全日本クライミングユース選手権ボルダリング競技大会(倉吉)… 3位
2016年3月:全日本クライミングユース選手権リード競技大会(印西) …優勝
2016年3月:THE NORTH FACE CUP (ノースフェイスカップ)division1…優勝
2015年5月:全日本クライミングユース選手権ボルダリング競技大会(倉吉)…3位
2015年3月:クライミング・日本ユース選手権(印西)、リード… 2位
2014年8月:第17回JOCジュニアオリンピックカップ大会(南砺)リード…優勝
2013年8月:第16回JOCジュニアオリンピックカップ大会(南砺)リード…3位
2012年8月:第15回JOCジュニアオリンピックカップ大会(南砺)リード…優勝
2012年3月:JFAユース選手権2012(印西)リード…2位
■国際
2016年11月:IFSC 世界ユース選手権 広州 リード…6位
2016年7月:IFSC クライミング・ワールドカップ (L) ブリアンソン …10位
2013年12月:IFSC アジアユース選手権 スラバヤ・インドネシア リード。…2位

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2020応援シリーズの2に登場の戸田萌希さんからバトンが渡ったのは、同い年の高校2年生クライマー。身長は推定186cm、まだ伸びそうなので、はっきりは分からないのだという。
まだまだ伸びそうなのは身長ばかりではない。ユース、ジュニアカテゴリーでめきめき頭角を現してきた現在17歳が2020年に21歳、まさに旬。この4年間の間に恐らく目覚ましい成長を遂げるに違いない。
軽やかでしなやかな登りっぷりにいよいよ磨きをかけて、さてさて彼がどのようなクライマーに育つのか、今、最も注目の成長株の一人であるとは、だれもが認める周知のことなのだ。