ハル・アシュビー監督がザ・ローリング・ストーンズの81年の全米ツアーにおいて、20台のカメラを駆使して捉えたライブ・ドキュメントが本作。ストーンズのデビューから20年の軌跡、25曲が30年の時を経て、HDリマスター版としてスクリーンに蘇った。これはファンのみならず、ロックの歴史としておさえておかなければいけない作品だ!!
デューク・エリントンの『A列車で行こう』が流れる中、会場に集まる10万人の観客たちから歓声が巻き起こる。オープニングの『アンダー・マイ・サム』から『夜をぶっとばせ!』と続く! 思い出すのは、このライヴのアレンジがカッコ良く、すぐさま学園祭で悪友たちと演奏したことだ! いきなりテンション上がるぜーー!! ステージのビビットな色合いが当時の華やかさを象徴し、ポップなデザインは時代の元気さを感じさせる! ステージ・デザインはカズ・山崎!
ミック・ジャガーがスタジアムの端から端まで走る走る! 当時の映像のクオリティーは思い出せないが、リマスターされた映像は相当な高画質であることは間違いない。このころのキース・リチャーズとロン・ウッドの対照的なギターフレーズの掛け合いが最高にたまらない(涙)。演奏中、ずっとくわえタバコのキースだが、歌う時にもタバコを捨てない。クールだぁぁぁー! 一瞬、床に煙草を置くキースだが、それをすかさず拾って吸うロンがまたまたニクイ! ビル・ワイマンとチャーリー・ワッツは、我関せずと淡々と演奏している。
後半、キースの真っ赤に破れたTシャツから見える筋肉が超セクシー! このライブ、いちばんアブラが乗っているころのストーンズがいる! ミックが踊りに踊るーーー!!
そして『レット・イット・ブリード』では“お父さんの為のギター選び”で紹介した『Zemaitis DISK FRONT』のギターをロンが弾きまくる! これは貴重な映像だ!
さらに当時のニュー・アルバムから『スタート・ミー・アップ』の演奏がぁぁぁー!! ボルテージは最高潮! 一緒に歌うしかないぜ! 続けてキースが片手で弾くイントロ……これが、またまたカッコイイーー!! 『ホンキー・トンク・ウィメン』の始まりだぁ。美女が大挙してしてステージに登場、中にはチャーリーの奥さんやミックの当時のガールフレンドの姿が、マニアな方はチェックしてみて♥
そして大いに盛上がるなか『ブラウン・シュガー』、『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』に突入。この時期の『ジャンピン――』の演奏は荒削りでハードでヘヴィーだ! キースとロンのコーラスもなんかイイ! 上半身裸のミックは巨大クレーンに乗り会場上空を回る回る! アンコールは『サティスファクション』、そして大歓声の中ストーンズの姿が消えジミ・ヘンの『星条旗よ永遠なれ』をバックに花火が何発も夜空に打ち上げられる!まさに最高のステージ!
1973年の来日が中止となり、それから17年後の1990年が初来日(もちろん観に行きましたよ!)となるが、やっぱりこの81年のライブを生で観たかったぁーーー!! この迫力のステージをぜひ、劇場でご覧あれ!!
『Still Life 』というタイトルでCDも発売されていますよ。
【SONG LIST】
アンダー・マイ・サム/ Under My Thumb
夜をぶっとばせ!/ Let’s Spend the Night Together
シャッタード/ Shattered
ネイバーズ/ Neighbours
黒いリムジン/ Black Limousine
ジャスト・マイ・イマジネーション/ Just My Imagination (Running Away with Me)
トゥエンティ・フライト・ロック/ Twenty Flight Rock
レット・ミー・ゴー/ Let Me Go
タイム・イズ・オン・マイ・サイド/ Time Is on My Side
ビースト・オブ・バーデン/ Beast of Burden
友を待つ/ Waiting on a Friend
ゴーイング・トゥ・ア・ゴー・ゴー/ Going to a Go-Go
無情の世界/ You Can’t Always Get What You Want
リトルT&A/ Little T&A
ダイスをころがせ/ Tumbling Dice
氷のように/ She’s So Cold
オール・ダウン・ザ・ライン/ All Down the Line
ハング・ファイアー/ Hang Fire
ミス・ユー/ Miss You
レット・イット・ブリード/ Let It Bleed
スタート・ミー・アップ/ Start Me Up
ホンキー・トンク・ウィメン/ Honky Tonk Women
ブラウン・シュガー/ Brown Sugar
ジャンピン・ジャック・フラッシュ/ Jumpin’ Jack Flash
サティスファクション/ (I Can’t Get No) Satisfaction
■おまけその1〜こぼれ話し!
実はミック・テイラーの後任としてジェフ・ベックがストーンズに誘われていたんです。それを彼が拒否し、代わりに『ジェフ・ベック・グループ』に在籍していたロン・ウッドを推薦。
その結果、ロン・ウッドがメンバーに! もし、彼が引き受けていたらキースとベックのギターセッションが……。そんなストーンズって想像できない!!
■おまけその2〜ストーンズお薦め映像!!
【ザ・ローリング・ストーンズ ハイド・パーク・コンサート 1969(Rolling Stones play Hyde Park) 】
ブライアン・ジョーンズが脱退し、その後自宅のプールで謎の死をとげた。その2日後、ロンドンのハイドパークで行われたフリー・コンサートがこの作品。50万人ともいわれる観客を集めて行なわれたこのコンサートは、当初2代目ギタリストのミック・テイラーのお披露目コンサートだったが、ブライアンの追悼コンサートにな
ってしまった。81年のライヴに比べると若々しく、とてもセクシーなのだ。
【ロックン・ロール・サーカス(The Rolling Stones Rock and Roll Circus) 】
1968年に収録されたローリング・ストーンズのなぜか放送されなかったテレビ番組。海賊版で音源は出まわっていたが、1996年になってようやくVHSビデオで初リリース。見所はなんといってもジョン・レノンがこのショーのためにバンド「ザ・ダーティー・マック」を結成したところ。メンバーはジョン・レノン(ボーカル&ギター)、エリック・クラプトン(ギター)、キース・リチャーズ(ベース)、ミッチ・ミッチェル(ドラムス)。これは凄いです。なかなか発売されなかったのは、ストーンズが自分たちの演奏に満足していなかったということのようです。しかし、この68年のビジュアルは最高だし、『悪魔を憐れむ歌』でのミックはセクシー度&迫力満点!
監督:ハル・アシュビー
出演:ミック・ジャガー/キース・リチャーズ /チャーリー・ワッツ/ビル・ワイマン /ロン・ウッド
配給:シナジー
公開:7月2日(土)より シアターN渋谷ほか全国順次ロードショー
公式HP:http://www.stones-movie.jp/
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