第184回 洋楽編 MICHAEL SCHENKER FEST ―― 3人の歴代シンガーと奇跡の饗宴! マイケル・シェンカー・フェスト

ゴールデンウィーク前に引いた風邪がまだ治りません。熱はないし、身体がだるかったりもしないんですが、咳が止まらなくてね。ギターは問題なく弾けるけど、歌うのが辛くて困っています……。さて、今回取り上げるのは今秋のラウドパークに出演の決まったマイケル・シェンカー・フェスト! 先日、自分が死ぬまでに絶対ライヴを観ておきたいのは誰だろう……なんてことを考えていたんだけど、その時に真っ先に頭に浮かんだのがマイケル・シェンカーでした。そして、そんなことを考えていた日にラウドパークへの出演も発表されたという。これはもう、絶対に観に行けってことだよね。


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マイケル・シェンカー・フェストはマイケルが結成した新しいバンドの名前……ではなく、昨年行われたMICHAEL SCHENKER GROUP(以下MSG)による、歴代のシンガーの中でも人気の高いゲイリー・バーデングラハム・ボネットロビン・マッコーリーという3人が一堂に会し、数々の名曲をそのオリジナルシンガー達が歌ったライヴのこと。なので、ラウドパークに出演が決まったというよりは、ラウドパークでの開催が決まったと言うべきかな。マイケルと3人のシンガー以外にもテッド・マッケンナ(Dr)、スティーヴ・マン(Key,G)、クリス・グレン(B)というMSGの黄金期を支えたメンバー達が揃っているし、まさにマイケル・シェンカー・フェスティヴァル!

MSGは、SCORPIONSUFOで活動し、天才との声も名高かかったドイツ人ギタリストのマイケル・シェンカーが満を持して結成したバンド(80年にデビュー)。ただ、マイケル以外のメンバーは流動的で、アルバムごとにメンバーチェンジが行われているし、実質的にはマイケルのソロプロジェクトです。シンガーにはゲイリー、グラハム、ロビンの3人以外にも、RAINBOWイングヴェイ・マルムスティーンのバンドにいたドゥギー・ホワイトなどの実力派シンガーも参加しているけど、やっぱり黄金期とされる80年代から90年代前半にかけて在籍した3人の人気が高いし、今回の人選は当然というか、少なくとも日本のファンは誰もが納得しているんじゃないかな。なかでも、素晴らしいアルバムを発表しながらもファーストライヴの途中でステージから逃走(!)、そのまま解雇されてしまったグラハムの参加を喜んでいる人は多いと思う。解雇から30年以上、まさかこんなことが実現するなんてね。

『Looking for Love』
83年のライヴから。ゲイリー時代だとこれが一番好きかなー。ラウドパークでやってくれるといいなあ。
 


俺がマイケルのことを知ったのは80年代の半ば頃で、その頃のマイケルはギターキッズ必聴のギターヒーローでした(今もだけど)。ギターを弾き始めたばっかりだった俺は、当然マイケルのことをチェックしていたんだけど、最初に観た映像が悪かった。当時のシンガーだったレイ・ケネディは歌も見た目も明らかにバンドに合っていなくて、お世辞にもカッコ良いとは言えず。マイケルのきらびやかな音色や泣きのギターには魅力を感じたものの、MSGというバンド自体にはあまり惹かれなかったんだよね。レコードでは他のシンガーが歌っていると知ったのはそれよりだいぶ後のことで、MSGといえばカッコ悪いシンガーがいるバンド、と俺の頭にはインプットされてしまったのです。

『Michael Schenker Fest Tokyo』
 
国際フォーラムで昨年行われたマイケル・シェンカー・フェストを収録したDVDのオフィシャルトレイラー。マイケル、楽しそう!
 



そしてまた悪いことに(?)、レイ・ケネディの脱退後、ロビン・マッコーリーが加入してMcAULEY SCHENKER GROUPと名義を変えたMSGは、あろうことかアメリカンでほどよく洗練されたポップなサウンドに変貌しており、これならアメリカのバンドのほうがいい……と、俺はますますMSGを聴かなくなってしまいました。それでも、RAINBOWのファンになって、そのメンバーだったグラハムの参加アルバムを聴き漁っているうちに出会った『Assault Attack』(名盤!)や、後追いで聴いたゲイリー時代のアルバムには「MSGってこんなに凄いバンドだったのか!」と唸らせられたし、今でもよく聴く。それに、ロビン時代にしても、今になって聴いてみるとどれもクオリティが高いんだよね。『Save Your Self』なんてほんとに良いアルバムだ。発表された年代や、アメリカでの成功を狙っていたと考えれば、あの作風も致し方なかったのかな。

マイケルはたまにご乱心することがあって、ライヴを途中で終わらせたりもしていたから、どうも他のスケジュールを優先してしまい、いまだにライヴを観たことがないんだよね。でもここ何年かのマイケルは本当に安定しているようだし、ラウドパークなら他のバンドもいるわけで、マイケルが途中で帰っても大丈夫でしょ! ……という冗談は置いといて、冒頭に書いたように、俺にとってマイケルは死ぬまでに絶対観たいアーティスト。あの歌心たっぷりのギターを生で聴きたい。そして、ゲイリーにグラハム、ロビンも来るんだもの。こんなに豪華なメンバーで観られる機会なんて、もう二度とないかもしれないよね。彼らももう60代だ。いつまでも現役でいられるわけじゃない……。絶対に観に行くぞう! 

※ikkieがなんと「出張ギター教室」を始めてしまいました!
とにかくここから アクセス! 動画もあるよん。
http://dokodemoguitar.com/