第98回 洋楽編 CINDERELLA――アメリカでは根強い人気、乞うCINDERELLA来日!

寒い日が続きますねえ。東京でも2週続けて大雪になりました。雪国出身とはいえ、俺も上京してもうすぐ四半世紀。スノトレもママさんダンプも持っておらず、ほんとに不便で……春はまだ来ないのかしら。さて、今回取り上げるのはフィラデルフィア出身のCINDERELLA 。彼らには『Long Cold Winter 』なんてタイトルのアルバムがあって、冬になるとなんとなく思い出しちゃうんですよね。


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CINDERELLAはジョン・ボン・ジョヴィに見出され、86年にデビュー。AC/DCAEROSMITHをミックスしたようなハードロックサウンドと、一緒に歌いたくなるキャッチーなメロディであっという間に支持を拡大し、ファーストアルバム は全米チャートの3位を記録。ここ日本でも大人気でした。そのころの俺はバンドの真似事を始めていてHR/HMに夢中だったし、シンデレラなんて変な名前……とか思いつつも、すぐに彼らのファンになりました。バンドでコピーもしたよ。

デビューからしばらくはBON JOVIの弟分のように見られていたCINDERELLAだけど、決してBON JOVIには似ておらず、ツインギターを擁するバンドサウンドにはハードさもあり、キャッチーではあってもBON JOVIのようなポップさはなかった。そして何よりシンガーでギタリストのトム・キーファーの特異な歌声! AC/DCのブライアン・ジョンソンやジャニス・ジョプリン を彷彿とさせる、しゃがれ声を絞り出すようにハイトーンで歌うスタイルは、聴けばすぐにトムだとわかる個性的なものでした。ただし、トム以外のメンバーは少々影が薄かったと言わざるを得ないかな。もともとテクニックが売りのバンドではないけど、シンプルで自己主張の少ないプレイが多く、他のメンバーはトムをバックで支えているという印象。楽曲もほとんどトムが書いていたから、ワンマンバンドっぽく見てた人も多いと思う。でも、ジェフ・ラバー(G)とエリック・ブリッティンガム(B)が揃ってギターとベースをぐるんと回す派手なパフォーマンスには度肝(笑)を抜かれたし、当時のバンドマン達はこぞって真似したんだよね。シートベルト地のストラップが回しやすいとか、情報交換したりもしたっけ。ははは。トムはカリスマ性のあるフロントマンだったけども、ギターを弾きながら歌うとあんまり動けないし、派手なパフォーマンスでステージを盛り上げるジェフやエリックはライヴでこそ重要な存在だったのかも。実はまだ生で観たことがないんだよね……。


『Shake Me』
CINDERELLAといえばこれ!って人が多いんじゃないかな。
グラマラスでハードなロックンロール! ギター回しもばっちり見られます


さて、ファーストアルバムではAEROSMITH的なハードロックをやっていたCINDERELLAだけど、セカンドアルバム ではトムのブルーズ趣味を前面に押し出し、ガラッとサウンドが変わります。アルバムの冒頭、いなたいブルーズギターに乗って、それまでとはまったく違う低音で歌うトムの声が聴こえてきた時は驚いたな。全体的には例のハイトーンが多いし、そこまで印象は変わらないんだけど、ハードロックとブルーズが上手くブレンドされた新しいCINDERELLAのサウンドは、ブルーズを聴き始めたばっかりの俺にはわかりやすかったし、嬉しい変化でした。そのセカンドアルバムが発表された80年代後半はHR/HMシーンにルーツ回帰ブームが起こっていて、アルバムはその波にも乗り、またも大ヒット。ただ、CINDERELLAはそのブームを作ったバンドの一つと言えるし、流行りに乗って上辺だけブルーズを取り入れたようなバンド達とは違った。

CINDERELLAのブルーズへの傾倒は本物で、サードアルバム ではさらにその路線を推し進め、ハードロックとは呼べないほどの作風に変化。ブルージーさが増し、ルーツロック的な魅力もたっぷりあったこのアルバムは完成度が高かったけど、この辺からファンが少しずつ離れていった印象も。デビュー時のグラマラスな彼らが好きだった人には物足りなかったのかな。そして折からのグランジブームの煽りも受け、失速したCINDERELLAは95年に解散……。


『Bad Seamstress Blues 〜 Fallin’ Apart The Seams』
モスクワ・ピース・ミュージック・フェスティヴァルでのライヴから。
ライヴ冒頭の渋いSEがセカンドアルバムの1曲目です。びっくりしたなあ


それでも根強い人気のあったCINDERELLAは97年に再結成。それ以降、間を開けながらも、現在もアメリカでのツアーを中心に活動しています。CDがあまり売れなくなった現在、ベテランバンドたちは興行中心の活動にシフトしているらしいです。でも、それも日本よりロックが根付いてるアメリカだからこそ成り立つのかもしれない。その辺のバンドはあんまり日本には来ないんだよね……アメリカ羨ましい。CINDERELLAが観たいって人、日本にもいっぱいいると思う。前回のKAWASAKI ROCK CITYみたいなのは本当に稀。あのラインナップにはCINDERELLAもハマると思うんだよね。去年発表されたトムのソロアルバム も良かったし、クラブチッタさん、次はぜひCINDERELLAを呼んで!


『Heartbreak Station』
サードアルバムからの名バラード。ikkieのお気に入りです。
EAGLESや最近のBON JOVIが好きな人にオススメ

※ikkieがなんと「出張ギター教室」を始めてしまいました!
とにかくここからアクセス! 動画もあるよん。
http://dokodemoguitar.com/