LOGAN/ローガン

logan_001.jpg 「X-MEN」シリーズのウルヴァリンことローガン、最後の雄姿! アメコミ映画という枠をはるかに超え、“家族”としての物語を感動的に描き上げた本作。本年度オープニング新記録を樹立し、80ヶ国でNo.1の大ヒットスタートとなった壮大なSFアクション・ドラマだ。

2029年。ミュータントの大半が死滅した今、ローガン(ヒュー・ジャックマン)もまた、長年の死闘で疲弊し、不死身の体ではなくなっていた。廃工場で共に暮らすチャールズ・エグゼビア(パトリック・スチュワート)も同様、老いが原因で自分の能力を制御できず、やはり生活をともにするミュータントのキャリバン(スティーヴン・マーチャント)だけが頼りだが、彼は彼で太陽光のもとでは生きられないため、三人とも安泰な生活とはいいがたい。そんなある日、ローガンは謎めいた少女、ローラ(ダフネ・キーン)と出会う……。

logan_002.jpg 本作は映画としてパーフェクトだ。マーベル映画だからと言って子供向けでもなんでもない。ストーリー然り、キャラ設定や人物描写然り、細部の描写然り、伏線の回収然り。実際、本作は「X-MEN」史上初のR指定だ。そして、本作は「X-MEN」シリーズの最高傑作だ。どんなに褒めても褒めすぎにはならない。それくらい完成された感動作だ。

眼光鋭いローラ役のダフネ・キーンは、イギリス人俳優とスペイン人女優との間に生まれたハーフで、本作が映画デビュー作。ローガン役のヒュー・ジャックマンはもちろん主役として本作の主要シーンを担っているが、ローラ役の彼女のずば抜けた存在感と身体能力が、本作のドラマ性に多大な説得力を与えている。

老いたチャールズの悲しい姿もまた、本作に深みを与えている。誰もが共感する、人間としての栄枯盛衰。たとえミュータントであっても、もとは生身の人間であるという真実が、否応でも観る者の共感を(特に、老いた家族を持つ人々の共感を)得、心をえぐる。卑怯、卑怯だよ。こんな残酷な話ってあるかよ……。

映画とは、どんなにスケールが大きかろうが設定がぶっ飛んでいようが、観客一人一人の人生に当てはめて訴える力がなければ、一過性の清涼剤で終わってしまう。本作は真逆で、スケールも大きいし設定ももともとアメコミでぶっ飛んでいるにも関わらず、プラス、観客それぞれの等身大の人生を映し出す力をも持っている。大きいのに緻密。ド迫力なのに繊細。架空の設定なのに普遍的。ああもう、大多数の批評家に右へ倣えになってしまって悔しいような気がするが、しょうがない。本作は間違いなく、近年の大傑作なのだから。

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監督:ジェームズ・マンゴールド
脚本: スコット・フランク、ジェームズ・マンゴールド、マイケル・グリーン
出演:ヒュージャックマン、パトリック・スチュワート、ダフネ・キーン
配給: 20世紀フォックス映画
公式HP:http://www.foxmovies-jp.com/logan-movie/
公開:6月1日(木)全国ロードショー

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