自伝的コミックを自ら映画化した『ペルセポリス』で、アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネート、カンヌ国際映画祭審査員賞に輝いたマルジャン・サトラピ監督の最新作、『チキンとプラム〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜』。
死を決意した天才音楽家は人生最後の日、“叶わぬ恋”に想いを馳せる<切なくロマンティックな愛の物語>である本作は、大人の誰もが同じように持つ淡く忘れられない恋の想い出の扉をそっと開けてくれる。
本作公開前の10月16日(火)に、都内港区のシネマート六本木にて作家の志茂田景樹と、芸人・DJのふかわりょうのトークショーが行なわれた。
MC:今回は“叶わぬ恋”に想いを馳せる、せつないラブストーリーですが……。
ふかわ:志茂田さんの衣装については触れなくても良いんですか?(会場笑)
志茂田:今、なにか、いいました?(会場笑)
MC:お二人は、本日初対面ですか?
志茂田:そう、思うんですけど……。
ふかわ:以前『笑っていいとも』で、毎週お会いしてましたので「ご無沙汰してます」って言おうと思ったんですけど、先に「始めまして」って言われたので……(会場笑)。
志茂田:ぼくの半径2m以内には入ってないですよね? それ以上、離れたところにいた人のことは憶えてないんです(会場笑)。
MC:映画の感想はいかだでしたか?
志茂田:確かに切ないんですけど、笑いを誘う部分がありますね。切なく切なく笑って笑ってまた切なくまた切なく笑って……(会場笑)。
ふかわ:すごく心地好く観れる良性のフランス映画でしたね。リアルなところもありますけど、描くタッチがカッコ良くポップな作品でした。
MC:劇中、失ったものが全て音になるというシーンがありますが……。
志茂田:作家が本気になって小説を書く時は、命を削って書くような感じがありますね。
ふかわ:不満は発明の母と言うことでしょうね。
MC:……………………(会場クスクス)。
ふかわ:大丈夫です。満たされない部分を埋めるために作品は生まれる……。
志茂田:確かにそうですね。
ふかわ:意気投合しますね!(会場笑)
志茂田:満足は失敗の母でもありますね。
MC:DJ・ロケットマンとしてご活躍のふかわさんですが、音楽に携っているということで、主人公のどんな部分に共感されましたか?
ふかわ:共感というと、ちょっと違和感はありますかど、追いかけるところ、執念深いところは重なるところがありますね。
若いころストーカーだったなって思うことがあります。彼女にクリスマス前に振られたんですけど、「まだ僕のことを思ってくれている」って、朝から晩まで公園のベンチでずっと待ったことがあります。彼女との想い出が、サンタさんからのプレゼントだなと思いました。若かったこともあって、本当の失恋を受け止めるまでには時間がかかりました。
MC:映画の主人公のように“忘れられない女性”はいますか?
志茂田:いますけどね……。本当に忘れられない人は、この映画と似てて哀しいものなんですよ。それよりも、大学時代の恋が良くてね……。三角関係の男女3人で海に行こうってことになって。海辺で僕ともうひとりの、「どちらが好きか言ってくれ」って、彼女が困っているので、「後ろ向いてるから、砂にどちらかの名前を書いて」と……。ぱっと振り向いたら僕の名前だった(会場拍手)。
ふかわ:いい話ですね〜!
志茂田:半年くらいお付き合いして別れてましたけどね。その後、ポピュラーミュージックで『砂に書いたラプレター』という歌が出て、これもしかしたら「原案は僕じゃないかな?」って思いました(会場笑)。
ふかわ:違いますよ!
MC:ふかわさんはいかがですか?
ふかわ:今まで出逢った人は、ずっと忘れられないですね。全員引きずりながら人生を送ってます。ストーカー時代もありましたし……。今でも気持ちの中ではストーキングをやめてないですね。忘れたくても忘れられない……。
MC:憧れの女性像はありますか?
志茂田:映画女優ですか? 海外ですとマリナ・ヴラディ……(沈黙)。
ふかわ:…………僕もですね(会場笑)。
MC:初耳ですね。
志茂田:あわせてな〜い? マリナ・ヴラディご存知ですか?
ふかわ:いや〜、ヴラディはいいですね。ほどよい色気というか……。
志茂田:そうね!
ふかわ:あの映画のあのシーン、忘れられないですよね!(会場笑)
MC:最後にメッセージをお願いします。
志茂田:みどころだらけだと思います。最後の最後に何が現れるか? ここに注目してください。そしてプロローグ部分に仕掛けがあります。その仕掛けを見逃さないように。主人公の表情の変化に注目してください。映画の楽しみがとても増えると思います。
ふかわ:観終わったときに、お気に入りのカフェを見つけたなっという気分になってもらえたらいいなぁ〜と思いますね(場内沈黙)。
志茂田:それいいね〜。すごくいい〜。一行で上手くこの映画の神髄を言ったと思います(会場笑)。
最期の8日間で、人生を振り返るナセル・アリ。空っぽな音だと叱られた修業時代。絶大な人気を得た黄金時代。誤った結婚、怖くて愛しい母の死。大好きなソフィア・ローレンとチキンのプラム煮。そして今も胸を引き裂くのは、 叶わなかった恋。やがて明かされる、聴く者すべてが涙する奇跡の音色の秘密とは──?
監督・脚本:マルジャン・サトラピ/ヴァンサン・パロノー『ペルセポリス』
原作:マルジャン・サトラピ「鶏のプラム煮」
出演:マチュー・アマルリック『潜水服は蝶の夢を見る』
マリア・デ・メディロス『パルプ・フィクション』
イザベラ・ロッセリーニ『ブルーベルベット』
キアラ・マストロヤンニ『そして僕は恋をする』
配給:ギャガ
公式HP:http://chicken.gaga.ne.jp
公開:11月10日(土)ヒューマントラスト有楽町、新宿武蔵野館他全国順次ロードショー
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