有限会社ケイアンドアイ・KOZUstyleの代表取締役であり、米国AICI国際イメージコンサルタント協会・東京チャプター会長、社団法人パフォーマンス教育協会認定・シニアパフォーマンスインストラクターとしてイメージコンサルティングの仕事や、現在、SVA 公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会 副会長としても活動している神津佳予子さんに、ボランティア活動とイメージコンサルティングについて話を聞いた。
アフガニスタン★私たちには、何ができるのか
1987年、難民問題を南北問題や食糧問題から論じている『人間の大地』の著者・犬養道子さんの講演を聞いたことから難民問題に興味を持ち、その犬養さんの提案から当時東京近郊に定住していたインドシナ難民の子供たちのホームステイ活動を、主婦グループで支援したのがボランティア活動を始めたきっかけです。
その後、カンボジア難民の青年たちとの出会いがあり、タイ国内にあったカオイダン・カンボジア難民キャンンプ、バンビナイ・ラオス難民キャンプ、タイバンコクのスラムと貧困問題を抱えるタイ東北部農村など、現地を訪れました。
SVAの女性理事としてアフガニスタンに初めて入ったのは8年前です。内戦などでまだまだ危険な状態が続いていましたが、国連からの支援依頼もあり、入国して調査を進めることになりました。
部族長は、ソ連と戦った当時のソ連兵の亡骸が、私が立っていたすぐそばに埋められていると話されました。子を持つ母としては、戦争によって自分の子供が母国以外で殺害され、そのまま埋められたとしたら家族はどんなに苦しい思いだろう……そう考えるといたたまれない気持ちになりましたね。
イスラム教が主流であるアフガニスタンの女性は、今でも親族以外の男性と外出してはいけないし、親族以外の男性に顔を見せないようにします。台所など、女性しか入れない場所もあります。私のような女性理事が現地に入る理由は、女性だけしか入れない場所に入れるということがあります。女性に対しての支援は女性が中心になって行なっているのです。
アフガニスタンの子供たち
アフガニスタン図書館活動
★識字率が低い地域へ絵本の配給を
アフガニスタンは識字率がまだまだ低いんです。文字が読めるということが、なぜ必要なのかといえば、仕事でも契約内容を確認して把握することが必要ですし、地雷が埋まっている地帯で標識が読めなくては当然危険です。薬の名前が読めなければ、どの薬をいつ飲むのかもわからない。字が読めないことで、自分たちが置かれている環境がフェアなのかアンフェアなのか、まだまだわからずにいる人が多いんです。私たちにとっては文字が読めることは日常かも知れませんが、命に直結するとても大切なことなんです。
そんな状況で私たちに何ができるのか、そう考えたとき、未来を担う子供たちの識字率と教育のレベルを上げることがとても重要なのではないかと思い、絵本の図書館活動を始めたのです。
アフガニスタンは多民族国家で、パシュトゥーン人、タジク人、ハザラ人、ウズベク人、トルクメン人などの数多くの民族が住んでいますが、私たちは日本の絵本にパシュトゥーン語の訳を付けて配布することにしました。
アフガニスタン図書館活動
カンボジア図書館活動絵本配布にあたっては、絵の上に翻訳した文字を新たに置くことになるので、作者の了解、そして出版元のポプラ社や福音館書店の協力が必要でした。「絵本を読めば楽しい気持ちになれて、夜ぐっすり寝れるんだ」ってアフガニスタンの男の子がほほえんでくれました。
子供たちは、“生活のための労働力”ということで、子供のころから大人として生きていかなくてはならないので、日本の子供たちとは顔つきが違います。でも、笑った時の表情はとても子供らしく輝いています。
現在、その他の地域でも絵本を配布し、読み聞かせをする活動をしており、カンボジア、タイ、ラオス、ミャンマー(ビルマ)難民キャンプなどでは図書館の運営もしています。企業、団体、個人からのご支援を受けて1年に1回、船便で約1万冊以上の絵本を現地に送っています。
私たちには、転んでいる子供に手を差し伸べることぐらいしかできないですけど、生きるってこんなにワクワクすることなんだよってことを、どこの国の子供たちにも味わってほしい。それは理屈ではなく、母親としてのシンプルな祈りの気持ちですね。
ラオス図書館活動
ミャンマー難民キャンプ図書館活動
★ビジネススーツを着るということは、お洒落のレベルではないんです
「イメージコンサルティング」とういうのは聞き慣れない言葉かも知れませんが、政界、経済界のエグゼクティブ、医師、弁護士、公認会計士、建築士などの士業、営業職などを対象に、クライアントの潜在能力を引き出し、実力、人柄、魅力を外見か
ら瞬時に伝わるような、仕事の成果を確実にあげる指導を行なうことです。
その中でも重要な要素のひとつは“スーツ”ですね。男性にとって、スーツを着るということは、信頼と尊敬を集めるということ。単に個人の楽しみのお洒落のレベルではないんです。そういう意識で着てほしい。コーチング、カウンセリングは内面から変えることですけど、イメージコンサルティングは外見から意識を変えることなんです。
たとえばですが、自衛隊やレスキュー隊のような仕事に就いている方は、制服を着ているだけで緊張感や使命感が伝わってきますよね。
それと同じで、スーツでも気持ちが違ってきます。姿勢も良くなりますし、振る舞いにも影響が出ます。他者にも「この人はリーダーだ」ってイメージを与えることもあるでしょう。そこを上手く活用して、その人自身を成長させていくことなんです。そうすると、業績も自ずと上がりますし、リーダーとして尊敬されるようにもなるでしょう。
よくスーツの基本は、ダークスーツって言いますよね。紺、チャコールグレイ、黒です。そうすると、差別化するところはどこかというと、Vゾーンだけなんですね。
ネクタイの結び方ひとつ取っても、ボリュームのあるエレガントな結び方だったり、あえて崩したりと、たくさん種類があるんですよ。いかにVゾーンで着る人の魅力を際立たせるか。あとは胸元のポケットチーフと合わせて、その色や柄、そしてクオリティで存在感、説得力と印象が決まると言っていいでしょうね。
「K氏のコンサルティング」イメージコンサルタント:神津佳予子/撮影:タツオザワ
★例としての「K氏のコンサルティング」
K氏は社会保険労務士として活躍されています。
第一印象は、どちらかというと、静かで控えめな士業の先生。服装も、スーツを着るのが仕事だから……という感じのコーディネートで「あ〜、損していらっしゃる、もったいない!」が初対面の印象でした。第一印象が決まる2秒間で、内に秘めた実力と魅力を外見から瞬時に伝えることが、ビジネスチャンスの出発点です。どんなに素晴らしいものをもっていても、相手に伝わらなければないも同じ。この人とビジネスをしたいと思ってもらうには、日頃から「自分のすばらしさをどう伝えたらいいのか」を意識しているといないとでは、当然結果が違ってきます。
まずK氏を引き立てるカラーを基に、シーン別に、スーツ、Yシャツ、ネクタイ、ポケットチーフ、ジャケットをコーディネートしました。撮影後のK氏は、セルフイメージがグンとアップして、自信に溢れた柔らかな笑みを浮かべた表情、立ち居振る舞いに変わりました。外見を自分のなりたいイメージに変えることが、心にもよい影響を与え、なりたい自分像に成長していく、そういうものなのです。
プロフィール
神津佳予子(Kayoko Kozu)
有限会社ケイアンドアイ KOZUstyle代表取締役 AICI国際イメージコンサルタント協会 東京チャプター会長 社団法人パフォーマンス教育協会公認 シニアパフォーマンスインストラクター
SVA 公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会 副会長
実践女子大学文学部英文学科卒業
義父母の介護と三人の息子の子育てのため、10年以上の専業主婦を経験後起業する。
1989年 有限会社ケイアンドアイを設立 代表取締役就任
1999年 イメージコンサルティング部門KOZUstyleを開設 代表就任
2010年 AICI国際イメージコンサルタント協会 東京チャプター会長就任
国際イメージコンサルタント資格を米国で取得
イメージコンサルティングに最新のパフォーマンス学の科学的データを導入し、パフォーマンス学と色彩学の理論、エビデンスに基づいたKOZUstyle独自の科学的、実践的なイメージコンサルティングを行なう。
社団法人パフォーマンス教育協会公認 シニアパフォーマンスインストラクターとして、パフォーマンス学の教育と普及にもつとめている。
<受賞歴>
「ウイメンズフェローシップ1997 シャルレ女性奨励賞」受賞
より豊かな明日の実現の為に、草の根的な活動を地道に続ける、生き生きと活躍している女性たちに贈られる賞。
地域ボランティ団体「マイトリーしなの」代表として会員と共に、世界で初めてのクメール語と日本語を併記したクメール民話絵本、1996年に『白いゾウをすくったウサギ』1998年『トラを生き返らせた仙人』2003年『アクヴァとアクヴェン』をカンボジアの子どもたちの識字教育支援のために発刊。「マイトリーしなの」は、ラオス世界遺産都市ルアンパバーンの県立図書館改修費を寄贈し、識字教育支援に貢献。社会的、経済的、政治的に弱い立場にいるタイ、ラオス、カンボジア、アフガニスタンの女性たち、地雷による障害者、児童養護施設の子どもたちが制作したクラフト製品を日本国内で販売し生産者の生活向上支援活動もおこなった団体でもある。