【トライルート】
10.Valsavarenchエリア
50.ANTARES.(P210) 3P
2017年2月7日
イタリアアイスday3
最初に記載した通りトポ本はイタリア語で書かれており、断るまでもないがイタリア語は全くダメ。したがって文面に目を凝らそうが、長々と書かれたルート説明はすべからくチンプンカンプン。そこへ以てきて、コッ、コッ、コッと歩くと何もかも忘れてしまうニワトリ頭だから丁寧な登攀記録になろうはずもない。
スンマセン、適当です。
―――アンタレス(Antares)は、さそり座α星。夏の南の空に赤く輝くよく知られる、さそり座で最も明るい恒星である。正しくはギリシャ語で「火星に似たもの」を意味する語に由来する。黄道の近くに位置し、その赤い色から火星に間違われたことからその名前が付いたものと考えられている―――
だそうだが、ルート開拓者が何を想起してルート名をつけたのかは全く分からない。
つくづく眺めると湾曲したフォールラインがサソリのボディーのくねりと似ているような気もする。
車を止めた駐車場から見える光景に打たれる。
なんて美しい!
一体誰がいつ、あれに登ろうなんて思いついたんだろうか?!
その無謀なる発想に感動する!素晴らしい!!アイスクライミングの来し方に心より感謝する。駐車場からほとんどフラットな雪道を10分チョイ行くと、もう滝は目の前。雪をかぶった急傾斜の氷を難儀しながら基部まで登る。
先客が2、3パーティーいたが、どうやら最下部でトップロープ練習をするようだ。
傾斜がさほどないパートを2ピッチほど登ったら、最後にバーチカルライン。
きわどい乗っ越し口を目前に、確実なスタンスを得るべく蹴り込みに力が入る。
「ん?」
何か左足かかと上辺りに違和感!
で自分の足を見下ろしてみたら、なんと、インソールヒーターのバッテリーケースが外れてぶら下がっていた。挿しなおそうとはしてみたが、どうにも作業できる状態ではない。仕方がないからパンツの裾を内側に2回ほど折り曲げてケースを挟んで、しまいこんだ。
それで何とかなるかと期待したが、しばらくするとパンツ裾の2回折りは敢え無く広がり、仕方なくまた、パンツ裾に折り込んでしまう。一旦外れると、そんなごまかし処理では利かず、最終ピッチで3回ほど外れた。
いやー、参ったのなんの!!
ホテルに戻って思案した挙句外れる問題は別のパンツをはくことで解決するとわかった。それはパンツ裾の内側に雪の侵入を防止するゲーターがついているタイプでゲーター裾はゴムで足首にフィットするようになっている。バッテリーケースを挿した上からゲーターをかぶせることで、ケースが外れ難くなる。もし万が一外れてもゴムで止まって、下にぶら下がることはない。(後日、氷上で試して、実証された)
しかし…
トラブルはそれだけではなかった。ホテルの部屋で外れる問題の解決策を見出して、ほっと一安心したのも束の間。片方が使用不能になってしまった。バッテリーケースが壊れてしまったのだ。
どうも最初からのことなのだがバッテリーケースから電池を抜こうとする時、電池が外れ難い。親指の爪を電池の端に引っ掛けて外そうとして、爪先がもげてしまったくらいだった。それ以降、電池を外す時はプラスティックのスプーンの先を電池の端にひっかけて外すようにしてきた。
毎日電池は取り替えなければならないから、この日もスプーンで外そうとした。当然、ケースに負荷がかかる。プラスチックケースの側面をテコにして「グイッ」と力を入れたら、こともあろうにケースの側面の一部が割れてしまった。
「パキッ!」
で、一巻の終わりである。
電極がついている部分がとれてしまっては、どうしようもない。
あああ、明日からの私のイタリアアイスデイはどうなるの?!
私の片一方のあんよはチベタ〜イになっちゃうのか〜!!