第4回 丸山珈琲 ボリビア・アグロ・タケシ・ゲイシャ世界最高峰のコーヒー農園が育てた「ゲイシャ」の魔力

他のコーヒー豆では決して味わえない独特の味と香りで、圧倒的な人気を集める「ゲイシャ種」。栽培が難しく収穫量が少ないため、世界中のコーヒーマニア垂涎の的だ。この希少なゲイシャ種を、2009年のボリビア・カップ・オブ・エクセレンスで優勝し、ボリビア最高の農園と評価されている「アグロ・タケシ農園」が栽培した。コーヒー豆は一般的に標高が高いほど熟すまでに時間がかかり、風味と甘さが豊かになると言われている。しかし標高が高すぎると、朝晩の気温が下がりすぎてうまく育たない。アグロ・タケシ農園は1800〜3000mという世界最高の標高に位置する農園ながら、日光で温められたインカ遺跡の石の熱が木を寒さから守り、最高品質の豆の栽培を可能にしている。そしてこの豆を買い付け、焙煎を行っているのが丸山珈琲だ。どんなにいいコーヒー豆でも、最適な焙煎を行わなければ本当のよさは味わえない。丸山珈琲は豆の持ち味を最大限に引き出す焙煎技術で極めて高い評価を得ている。品種×農園×焙煎と三拍子そろったコーヒーに、いやがうえにも期待が高まった。

bimi4_A.jpg ▲丸山珈琲「バイヤーズセレクション」、ボリビア・アグロ・タケシ・ゲイシャ

丸山珈琲のおしゃれでしっかりした箱に入れられて届いた。価格は80g¥3,888(税込)。筆者は普段100g¥700のコーヒーを飲んでいるので、約6倍ということになる。果たしてそれほどの価値はあるのだろうか?パッケージを開けると花のような香りが漂う。豆の状態でこれだけ香り高いコーヒー豆はこれまで経験したことがない。モノの違いを感じる。

豆を皿にあけてみると、粒が揃っていて、焼き目が均等についている。いい加減な焙煎所のコーヒー豆は粒がそろっておらず、焼き目もバラバラなことが多い。挽いてみると、花の香りが強まり、チョコレートのような香りも加わる。これは明らかに普通の豆ではない。

bimi4_B.jpg ▲コーヒー豆のパッケージはジッパーでしっかり密封することができ、鮮度の保持に配慮されている

bimi4_C.jpg ▲中煎りに焙煎されたコーヒー豆。丁寧な仕事がうかがえる

bimi4_D.jpg ▲電動ミルで中挽きに挽く。香りがいっそう強くなる

ドリッパーにペーパーフィルターと豆をセットする。個人的にHARIO式のドリッパーがコーヒーの味を明確に引き出すと感じているので一番好きだ。教科書通り、まず中央に500円玉ほどの円を描き、30秒ほど蒸らす。続いて2湯目を注ぐ。お湯を注ぐたび、甘い花の香りが立ち昇る。3湯目でドリップ完了。早く飲みたいが、気持ちを落ち着け、抽出されたコーヒー液の味と濃さを均一にするためスプーンでかき混ぜる。

bimi4_E.jpg ▲HARIO式のドリッパーに豆をセットし、ドリップ

bimi4_F.jpg ▲ドリップ完了。素晴らしい香りだ

bimi4_G.jpg ▲美濃焼のカップに注ぐ。最高の一杯への期待が高まる

カップに注いで鼻を近づけると、花の香りがジャスミンだったことに気づく。その香りは決して人工的でなく、あくまでナチュラルだ。一口含むと、フルーツのような風味が口一杯に広がる。桃のようなパッションフルーツのような複雑な味わい。フルーツの風味だけでなく、コーヒー本来のコクと甘み、チョコレートのような風味もしっかり感じられる。口当たりはあくまで滑らかで、素晴らしく心地いい。ゲイシャ種の特徴がアグロ・タケシ農場による栽培と丸山珈琲の焙煎によって最大限に引き出されている。期待通り、これまで味わったコーヒーの中で最高の一杯だ。このボリビア・アグロ・タケシ・ゲイシャは生産量が少ないため毎年すぐ完売してしまうが、ぜひ一度とりよせて味わってほしい。魔法のような香りと味わいは、あなたのコーヒーの概念を変えてしまうだろう。

■商品
丸山珈琲「バイヤーズセレクション」ボリビア・アグロ・タケシ・ゲイシャ
http://www.maruyamacoffee.com/ec/

■販売元
丸山珈琲(連絡先:小諸オフィス・受注センター)
〒384-0092
長野県小諸市平原1152-1
Tel/0267-26-5556 Fax/0267-25-5380
http://www.maruyamacoffee.com/

ichikawa_prof.jpg

市川哲男(いちかわ てつお)

大阪府出身。
教育、医療関係を中心に、人物、旅、グルメ、お酒などの記事をさまざまな媒体で執筆。著書に「珈琲美味手帖 珈琲を識る」(世界文化社)など。