第168回 ライヴレポート編 LOUDPARK 16――日本最大にして、最高のメタルフェス! オーバー40のフェス初参戦記 Vol.3

短期集中掲載をしていたラウドパーク参戦記ですが、Vol.3の今回でいよいよ最終回! ついにヘッドライナーのSCORPIONSが登場します! 
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loudpark_scopions@.jpg DOKKENのライヴが終わり、急いで隣のビッグロックステージへ向かう。本日最後のライヴとあって、フロア前方はぎっしりと人で埋まっていたものの、なんとか隙間を見つけて紛れ込む。時刻はもう20時過ぎ。かなり疲れてはいたけど、座席に座って観るのとステージのそばで観るのでは臨場感が全然違うからね。しかも、俺がSCORPIONSを観るのはなんと25年振りですよ! 少しでも前に行かなきゃ。

ステージには他のバンドの時には無かった幕が張ってあり、全貌が見えない。客席へ伸びる花道もあるようだし、やっぱりヘッドライナーは扱いが違うんだな……なんてことを考えていたら、一気に幕が落ちメンバーが登場! ルドルフ・シェンカーの見事に鍛えられた身体に驚く。25年前の記憶と変わらないソリッドなカッティングとあわせ、60代後半にはとても見えない。そのルドルフと同い歳のクラウス・マイネ(Vo)は、さすがに少し老けたかな……とは思うものの、艶のある歌声は健在だ。

オープニングは最新アルバムからの『Going Out With a Bang』。少々地味な印象を受けるも、クラウス・マイネ(Vo)の歌声が聴こえた瞬間、「ああ、SCORPIONSだ……!」と、あっけなく感動した。バンドの演奏も迫力十分。そして、観客にはあまり浸透していなかったと思われる1曲目以降は、怒涛の名曲ラッシュ! 個人的には、なぜ定番になっているのかよくわからない、もったりとした『The Zoo』や、インストの『Coast to Coast』には少々中だるみしてしまったけど、クラウスの喉を守るためにペース配分が必要なのかもしれない。中盤にもインストがもう1曲あったし……しかし、そのインストではマティアス・ヤプス(G)のギターがたっぷり聴けた。決してテクニシャンではないけど、この人は巧い。

『Wind of Change』
クラウス作の名バラード。泣きのギターソロはなんとルドルフ!
 


「70年代にドライヴしよう」とのクラウスのMCに導かれての70年代メドレーには、飛び上がるほど興奮した。俺は80年代に入ってからのファンだけど、やはり70年代の楽曲には狂気を孕んだ独特の魅力がある。生で聴けるなんて……と、大感激! 70年代当時と比べると、クラウスの歌声にはさすがにキレが無いかもしれないけど、結成して50年だよ! 年齢も考えると、クラウスの歌声は信じられないほど力強いし、高音もしっかりと出ている。中盤のバラードタイムで披露された『Send Me an Angel』、『Wind of Change』でもクラウスの魅力を堪能。やはりこの人の歌うバラードは絶品だ。

ライヴ後半には、9月に正式加入したミッキー・ディー(Dr)が長年在籍したMOTÖRHEADの『Over Kill』をプレイ! 昨年亡くなったレミー・キルミスターの映像がスクリーンに大写しにされ、会場の涙を誘う。クラウスが歌う分、少々ソフトにはなっていたけど、パウエル・マキオダ(B)はレミーばりにヘヴィなベースを弾いていたし、ミッキーのドラムはさすがの重量感で、物凄い迫力だった。パワフルなドラマーばかりが揃ったラウドパークでも、ミッキーは群を抜いて重かったし、ドライヴ感も凄まじい。SCORPIONSのサウンドもミッキーに触発されてか、以前よりもヘヴィさを増していたように思う。

『We’ll Burn the Sky』
ウリと共演したのはこの1曲。生で観られたなんて……!
 


畳み掛けるようにプレイされた『Black Out』、『Big City Nights』で、一旦ライヴは終了。当然、観客達はアンコールでバンドを呼び戻す! 情感たっぷりにプレイされた名バラード、『Still Loving You』の余韻に浸りつつ、クラウスが紹介したゲストの名前に会場がどよめく。そして、ステージに呼び込まれたのは70年代のSCORPIONSを支えた天才ギタリスト、ウリ・ジョン・ロートだ。2日目に出演予定のウリが共演するかも、とは聞いていたけど、まさか本当に登場するとは……! たった1曲だけの共演だったけど、ウリの天空を浮遊するようなギターはやはり素晴らしかったし、日本での38年振りの共演という僥倖を目撃することが出来て、大感激でした。

そして、ラストはやっぱりこれ、『Rock You Like a Hurricane』! 今日いちばんの合唱が起こり、大盛り上がりでライヴは終了。あれも聴きたかった、これも聴きたかった……という思いはもちろんあるけど、70年代の楽曲までやってくれたし、十二分に満足できるセットリストだった。そういえば、ライヴが終わった後にMCの男性が言っていたんだけど、SCORPIONSのライヴは、80分の予定が120分になっていたとのこと。そんなにやってくれたのなら、もう文句なんかありません! ありがとうSCORPIONS……! あ、タイムテーブルが大幅にズレたのは、この終了時間だけだったかも。凄いなあ。

『Rock You Like a Hurricane』
SCORPIONSといえばこれですよねえ。
 


フェスよりも単独ライヴでそれぞれのバンドをじっくりと堪能したいと常々思っている俺ですが、今回初めて大きなフェスに参加してみて、「フェスは楽しい!」と思い直しました。……フェスではなく、「ラウドパークは楽しい!」かな、まだ。他のフェスのことはわからないし。体力的にはかなりきつかったけど、単独ライヴのチケット代がどんどんと値上がりしていくなか、単独ライヴとそれほど変わらないチケット代でたくさんのバンドが観られるのはやっぱり嬉しい。それに、フジロックやサマーソニックとは違って、自分の好みに近いバンドばかりだったからね。ほんとに楽しかったです。

そして、何よりも、「日本人はやっぱりメタルが好きなんじゃん!」と思えたことが嬉しかった。メタルフェスが、数万人規模のこんなに大きな会場で開催されている。そして、その会場をいっぱいにしたのは、SCORPIONSのような伝説的なバンドはもちろん、全てのバンドに対する敬意と愛情に満ちた観客達。長年のメタルファンにとって、とても幸せな空間でした。来年も開催されることを期待しつつ、主催のクリエイティブマンをはじめとした関係各位、アーティスト達に感謝と最大限の敬意を! 俺は来年に備えて身体鍛えます……。実はぎっくり腰になる寸前でした。

★10/8出演アーティスト
※○が付いているのは俺が少しでも観ることが出来たバンドです。全部観たかった!

「KINGDOME STAGE」
FRESH JUICER
LORDS OF BLACK ○
CAIN’S OFFERING
MASTERPLAN
DANGER DANGER ○
QUEENSRŸCHE ○
BLIND GUADIAN

「ULTIMATE STAGE」
SONS OF TEXAS ○
ALDIOUS ○
CANDLEMASS ○
ARMORED SAINT ○
SHINEDOWN ○
DOKKEN ○

「BIGROCK STAGE」
I PROMISED ONCE
ZARDNIC
MYRATH ○
RAGE ○
EXODUS
CHILDREN OF BODOM ○
SCORPIONS ○

※ikkieがなんと「出張ギター教室」を始めてしまいました!
とにかくここから アクセス! 動画もあるよん。
http://dokodemoguitar.com/