先日、リマで恒例のグルメ・イベント「ミストゥラ」に行ってきた。今年のイベントテーマは「ペルーの果物」。世界三大美果のチリモヤ、インカ神話にも登場するルクマ、サボテンの実トゥナ、ビタミンCの王様カムカムなど86種類にもおよぶ果物が出品された。見たことも聞いたこともない果物がずらっと並ぶ様は、それはそれは圧巻だった。
まずは会場入り口にあるこのパネルで、
果物の基本情報をお勉強あれこれ迷ったが、身近で買えるものよりちょっと変わった果物をと、アマゾン産フルーツを扱う店へと向かう。そこで店主のオススメを買ってみたのだが、これがなんとも一筋縄ではいかぬ不思議なものばかりだったのだ。
まずは「茹でるとジャガイモのようになる」という言葉に惹かれて買った、「Pijuayo(もしくはPifuayo/ピファヨ)」から。その味は……まるで半生のサツマイモ。小さな実だからすぐ煮えるだろうと10分ほど火にかけたのだが、まったく茹で足りなかったらしい。ネットで調べてみると、30?40分は茹でるとあった。あの店主が「栗のようなものだ」と言ってくれれば、もっと長時間茹でたのに……でもペルーには栗がないから仕方がない。
次にチャレンジしたのは「Taperiba(タペリバ)」、別名「マンゴー・シルエラ(シルエラ=スモモ)」だ。みかんのような柑橘系の味で、アマゾンではジュースにして飲むことが多い。果実をそのまま食べたことがなかったので、試しに`購入。
こちらはアンデスの果物屋さん。
オススメは「Níspero(ビワ)」のコンポート
まるで何かの生き物のような、タペリバの種しかし、中にある種が硬くてどうにも切り分けることができない。そこでアボカドを切る要領で種を中心に軽くねじってみた。すると、種全体から何やら硬い繊維が伸びているではないか。みかんの薄皮のような柔らかいモノではなく、まるで根っこのよう。網目状の繊維が果肉の中にまで入り込んでいるため、どうしても口に残ってしまう。やはり、この果物は漉してジュースにするのが正解だと思った。見た目はスモモ、食感マンゴー、味はみかんで口には繊維という、ある意味お得感たっぷりな果物ではあった。
スターアップルとも呼ばれるカイミート。和名は水晶柿ださて最後は「Caimito(カイミート)」。私が買ったものは緑色だったが、黄色い品種もあるという。果肉は半透明でつやつや。食感は、完熟柿の種の周囲にあるあのプルンとした部分にそっくりだ。さっぱりとした甘みで、冷やすとそれこそゼリーかわらび餅のようになる。
しかし食後の始末は大変だった。というのもカイミートの果汁は空気に触れると粘性が出るらしく、手はベタベタ、包丁はネトネトになってしまったからだ。割って食べるべきだったかと思ったが後の祭り。果物を切っただけなのに、包丁をゴシゴシと洗うはめになってしまった。
茹でろとか漉せとか切ったらすぐ洗えとか、とにかく「ただでは食べさせないぞ」と言わんばかりの個性的なアマゾンの果物たち。それにひきかえ、日頃目にする果物はなんと従順で食べやすいことか。それでもまたこんなイベントがあったら、今度はもっと変わった果物を買いたいと思っている。まったく私も懲りない性格だ。