長澤まさみの無愛想な声がムコ殿には好評だったジブリ作品『コクリコ坂から』。大ヒットとなった『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズ。実際に昭和30年代を過ごした人ばかりか、およそ古き良き昭和を経験していないデジタル世代も、不思議と「昭和ノスタルジー」に浸ってしまう。
一度も見たことがないのに、なぜか懐かしい。なんとも心地よいこの既視感、デジャヴ――。
色といい形といい、文句ナシ!そこで、今回のお話。
まずは写真をご覧ください。写っているのはなんの変哲もない金色の特大アルミ鍋です。ただし、この“なんの変哲もない”ところが大事。この鍋を見て、不思議と「お〜、懐かしい」とつぶやいてしまった人はアナタだけではないはずです。じつはムコ殿もその1人。
昭和30年代ころにはどの家庭でも使われていたというこのアルミ鍋。シンプルで飽きのこないデザイン、そのうえ軽くて丈夫と、愛される道具に欠かせないキャッチコピーをすべて兼ね備えています。サイズも豊富で、写真のものは味噌汁が一度に25杯も作れてしまう特大サイズ!!!
だがしかし。3人家族だった我が実家にこんなデカい鍋があるよしもありません。その当時、市民権を得つつあったテフロン加工の片手鍋(取っ手はとれないタイプ)のことはよく覚えているのですが。
それに、子供のころから1人行動を好んでいたムコ殿、少年野球やらボーイスカウトに参加して「川原でみんなでカレーを作った!」という屋外イベントの記憶もありません。それなのに、黄金色に輝く鍋をそっとなでたくなるこの懐かしさ、本当にどこからやってくるのでしょうか。
1kgちょっとの大豆から5kgの味噌ができます
潰した大豆と麹を混ぜて樽に仕込みましたこの鍋、ちよっと大きなスーパーに行ったら案外簡単に見つかりました。味噌を仕込むための大豆を煮るのに大きな鍋が必要だったんです。で、どうせならあの懐かしいアルミ鍋にしようじゃないか、という話になって購入しました。今でも売れ筋なんですね。
さて、昨年に続き2度目となるわが家の味噌作り。
大豆は前の晩から半日以上浸水させ、半日ほど鍋を火にかけている間も何度も差し水をして、アクをとってやって。そうしてから煮えた大豆を潰して、麹と混ぜて……おそろしいくらいに手間はかかります。そのうえ、仕込んだ味噌ができるのは今年の冬。
ちなみにこれが去年作った味噌。発酵ってすごい!これだけ手間も時間もかかるのについ夢中になってしまうのは、やっぱり例のデジャヴのせいかなとほくそえむムコ殿でした。