庶民の足ともいえる「オートリキシャ」は、その名前の通り日本語の「力車」からきている。三輪タクシーといったところか? このオートリキシャ(インド人はオートと呼ぶ)はメトロより安いし,小回りがきくので活躍しているのだ。
屋根にはビニール生地の日除けが貼ってあるのもあり、雨の日や、冬の寒い日には後方部の客が乗るところにも厚手のビニール生地で、風を避けるための被いの役目をしている。
駅にたむろしているオートハンドルはオートバイと同様のバーハンドルで、一応料金のメーターがドライバーの横に付いてはいる。ところが、そんな料金メーターなんぞついぞ使われた事はなく、私たち外国人を悩ませる(怒らせる?)交渉制となっているのだ。
「●●まで行きたいからお願いします」
そうすると、相手はちらと客を見てから高く言って来る。
「80ルピーだ」
すかさず、
「いやいや、高すぎるから他のに乗ります」
そして降りようとすると、必ずいくらなら乗りたいか?と言って来るので
「50ルピーが相場だって知っていますよ」
と力説。
しばらく押し問答が続いて、数分のうちには妥協させて乗る事が出来るけれど、降りるときにも油断はしていられない。
「60ルピーね」
とすかさず言って来るので、最近はスマホを見せて
「さっきの会話、すべて録音しているから値段も50ルピーって入っているけど、警察行く?」
とでも言えば大人しく引き下がる。実際に録音をしていることもあるけど、大体面倒で単なるハッタリだ。
メーターは一応あるのだが昔は排気ガスの多い2サイクルエンジンを使っていたが、あまりにも大気汚染問題が深刻になっていったため、政府が2サイクルエンジンの使用を禁止。その代わりにCNG(圧縮天然ガス)を使用したオートが出回り始めた。CNGはガソリンよりCO2(二酸化炭素)の排出量が20〜30%も少ない上、NOx(窒素酸化物)も少ないので環境に優しいからだ。タクシーもCNGの使用が義務付けられ、ボディにはCNGのマークが記載されているので一目瞭然だ。
慢性する交通渋滞はオートが原因だけではなく、神聖なるお牛さまがこの画像のように平気で遠足したり、道の端っこにも真ん中にも遠慮なしにリラックスしたりしているのが原因かと私は考える。ムンバイではあまりに交通渋滞が年々増すため、とうとうオートの市内乗り入れを禁止してしまった。
それでも、小学生らが4−5人で毎日通勤のためにオートを使っているシーンをいろいろな地方で目の当たりにした。彼らは子どもだから料金をぼったくりに遭ったりしないのだろうか?と案じてしまう。
デリー市内のグリーンとイエローのオートはシンボルだが、観光客はなるべく、強い態度で交渉をしないとボラれるから頑張って交渉してほしい。
小学生のアシとなっているオート