春だ。岐阜の里にも春が来た。
「美濃を制するものは、天下を制す」とうたわれた岐阜城。別名を稲葉山城、井口城、金華山城とも呼ばれ、織田信長や斉藤道三を魅了した山城である。
春風に吹かれながら、白い天守を目指して金華山を登ってみよう。
金華山の頂にひときわ輝く白亜の城・岐阜城は、マムシと恐れられた斉藤道三や、織田信長が愛でた城でそそり立つ岩山の頂点に築かれた城は、いにしえの時をしのばせる。
現在の城は、昭和30年代に復興再建された鉄筋コンクリート製だが、まるで戦国時代と平成の世のあわいをつないでいるような、シンボリックな佇まいだ。
「岐阜らしい景観」として、国の重要文化的景観に指定されているのも納得だ。
現在、見られる遺構は、土塁、石垣、曲輪、堀切井戸などで、近年では、居館跡の発掘作業中に信長時代の金箔の瓦が出土したことは記憶に新しい。
東西南北に登山用の登り口があり、特に斉藤道三が造ったとされる七曲口は、南側の斜面を登るルートで、岐阜城の大手道と言われ、拡張されているものの、信長が歩いたであろう道を追体験できる。
道程には、切り出された岩や砦跡や石積みなどが残されており、歴史を堪能するには、もってこいの登山道である。
金華山とそのまわりの山々は国有林で、四季折々の草木、野鳥、昆虫に出会える。
約60分の登山工程を歩くのが大変だという方は、ロープウェイが利用できるので安心してほしい。
窓外に広がる岐阜の街並みや信長の居館跡を見下ろしながらの3分間は、濃厚な時間にちがいない。
ロープウェイを降りたら、天守閣までは徒歩10分弱も登れば到着できる。
天守閣からの眺めは、ぐるり360度パノラマ眺望。
岐阜の城下を一望できる絶景で、一見の価値あり。
眼下には、長良川がゆったりと蛇行し、青くたゆとう水面に目を奪われる。
展望レストランでは、岐阜城ご当地B級グルメフェスティバルでグランプリを受賞したこともある「信長のどて丼」を味わってみては、いかがだろうか。
金華山の麓には、水と緑が美しい岐阜公園があり、公園から目をあげれば、白く美しい岐阜城の天守を拝むこともでき、桜の季節には花びらのすき間に天守が映え、春だけなく春夏秋冬おとずれてみたいスポットである。
参考資料:週刊・名城をゆく「岐阜城」小学館
「よみがえる日本の城16」学研