【魅惑的な世界の山々】世界遺産のハールシュタット


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初めて夫にハールシュタットに連れて行ってもらった時には、まずあまりにも絶壁に家々があるので郵便屋さんがかわいそうだなと思いました。ウィーンに住んでいた頃には、週末は決まって新鮮な空気の中をてくてく歩くためによく森林浴をしました。オーストリアは四方八方が山々ですから、森林浴は平地よりも山のような斜面が多いです。家族全員が山歩き用の格好をしてバックパックを背負い、サンドイッチやりんごを詰めて歩くのです。

今回の夏休みは余裕を持って3日間過ごしました。ロンドン在住の由美子さんも一緒に来たのですが、初めて見る山々に感動を隠しきれません。普段はロンドンのバンクに勤務する多忙の彼女はあまりにも大自然の景色に、水の足りない魚が水槽の中で口をパクパクしているかのような様子でした。そういう私も都会生活が長かったのでこれほどの高い山を目の前で見たことはなく、声が出ませんでした。オーストリア人である息子にはもちろん普通なのですが、あまりにも私たちが感動しているので楽しそうにしていました。この場所はオーストリア留学の経験もある、我が両親も大好きなところなのです。

ハールシュタットの歴史をひっくり返して調べると、これまた紀元前800年–450年頃の氷河期にさかのぼります。しかもちゃんとした「ハールシュタット時代」なんていう名前まであるのです。ダッハシュタイン近郊と合わせて1997年にはUNRSCOに登録されています。教会が湖畔に家々とともにあり、見事なる調和。こういう景色を見ていると余生はやはり故郷で過ごしたいと切望するようになります。何しろホーエダッハシュタインは2995m?という最高峰。(富士山には負けていますが)。夏というのに夜は気温がぐっと下がり寒いくらいです。

ケーブルカーで上がり、さらに15分ほど上ると世界最古である塩鉱の中の観光ができます。中は滑り台になっていてちょっとしたスリル感も味わえます。そう。ここは中世時代に塩の交易によって栄えたのです。「白い黄金」と呼ばれてとても有名なのです。しかもまだ使用されているのでこれも驚き!また隣街のカトリック教会には我々の(嫁ぎ先の家系ですが)先祖であるミヒャエル・パッハーの作成した美しい15世紀の祭壇があります。そういう意味でも、この近辺はパッハー家にとってもゆかりの地なのです。こんな芸術家の先祖がいるの?と半信半疑だった由美子さんも私の説得力のある説明で、作品にも敬意を払ってくれました。

余裕を持って滞在日数を確保して過ごすと、自転車でサイクリングを楽しめたり色々村のことも見えて来たりして楽しいです。最近は私もAirbnb支持者なので土地の人の家でお世話になりながら滞在するのがとても有意義に感じます。


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